はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

セミ

2018-10-05 21:38:50 | はがき随筆
 「ジージー」「ミーンミーン」。セミの大合唱。鳴いている。鳴いている。
 サクラの木や柿の木を見上げると、ぬけがらがあっちこっちについている。今年もたくさんのセミたちが生れ、夏を喜んでいる。
 時々、ビュッと目の前にとんでくるやんちゃなセミもいて、びくっとする。
 「セミもお盆を過ぎると少しずつ鳴かなくなるから、不思議だね」とよく家族で語っていたことを思い出す。セミはわいわいがやがやにぎやかに夏を運んで来て、静かに秋を呼ぶのかもしれない。
鹿児島県出水市 山岡淳子(60) 2018/10/4 毎日新聞鹿児島版掲載

フライングダイナソー

2018-10-05 21:17:28 | はがき随筆


 USJのジェットコースターが緊急停止で乗客が宙づりになったとニュースで伝えていた。
 2年前、夫とUSJで遊んだ。このザ・フライング・ダイナソーが一番人気。子供が小さいときに乗って以来ジェットコースターに乗った記憶がない。この年では無理かなと思っていた矢先、以外にも夫が乗ってみようという。朝一番、若者に混じって並んだ。スタートする前からうつ伏せになって驚いたが、思ったほど大変ではなく楽しかった。でも逆さまで2時間も宙づりにされたらと思うとぞっとした。私たちが乗った時ではなくてよかった。
 宮崎市 高木真弓(64) 2018/10/4 毎日新聞鹿児島版掲載゛

独り言

2018-10-05 21:08:17 | はがき随筆
 昔、彼岸花は赤く咲くと決め込んでいたけれど、現在は黄色、白とカラフルな彼岸花を見る。我が家の庭もカラフルな色で咲き乱れ、お彼岸が来たことを教えてくれる。ホッと心の安らぎを感じる。
 好きな色の彼岸花を手にかざして亡くなった方たちが返って来る迎え火をたいてお迎えしよう。大好きだった物も忘れずお供えしよう。そちらの世界のことも聞きたいし。
 どこからか「聞いてどうなる。そのうち行けるのだから心配せんでいい」と聞き慣れた主人の声が聞こえた。
 熊本県八代市 相場和子(91) 2018/10/4 毎日新聞鹿児島版掲載

まだ反抗期

2018-10-05 06:24:32 | はがき随筆
 以前一緒にグループ活動していた女性が、その後「カラオケ酒場」を始めたと聞いた。9周年になる記念の会に誘われた。しかし、妻に「年とって夜の外出は心配だ」と止められている。御無沙汰の詫びで参加した。
 初めてなのにスローフード、書道、出版社企画の旅などなじみの顔ぶれに「えーっ!」。
 おいしい料理攻めはすぐにお腹いっぱいになった。お客は30人もいたが、懐メロのリンゴの唄、哀愁列車など、十八番を歌って盛り上がり同窓会気分だ。
 この雰囲気では妻の心配は解るが、まだ反抗期脱出は無理。カラオケは「内臓の体操」だ。
 宮崎市 貞原定信(80) 2018/10/4 毎日新聞鹿児島版掲載

旧友との再会

2018-10-05 06:16:02 | はがき随筆
 地域総合版の記事の中に見慣れた名前が目に留まった。毎年年賀状のやりとりをしている妻のかつての同僚の名前だ。
 妻は写真を見ても気付かず、名前を見てようやくわかったようだ。彼が出身他の鹿児島へ移り住み40年あまりの時を経ての紙面での再会は、互いの年齢の積み重ねや風貌の変化を確認することとなった。
 早速妻はペンを取り無沙汰をわび、新聞で報じられた活躍に賛辞を送りはがきをしたためた。県版が地域総合版に変わり、なんとなく親しみが薄れていたが、今回は思いがけず旧友の近況を知ることができた。
 熊本市北区 東洋史(69) 2018/10/3 毎日新聞鹿児島版掲載