子供の頃、児童文学『サムライの子』を読んで、しばらくその世界から離れられないでいた記憶がある。読書の世界に入るキッカケとなった一冊である。
海援隊の武田鉄矢さんが『竜馬がゆく』を読むと「坂本龍馬が我が家の中で歩き出すのですよ」と言われたことがあるが同感である。30代から司馬文学歴史小説に熱中したが登場人物たちと友人になれたように感じるから不思議だ。
現実の世界に生きているのに、もう一つの世界にも生きているような気がする。読書はそんな不思議な世界であり、それが一番の魅力である。
熊本県嘉島町 宮本登(68) 2019/9/12毎日新聞鹿児島版掲載