窓ガラスにハエトリグモが張り付いている。両手を伸ばしてじっと動かない。その姿で宮本武蔵を思い出した。小説には、食事中に飛んできたハエを武蔵が箸で挟む場面がある。
「お父さんのハエが畳の上を散歩しているよ」と妻が笑い出した。「そうか、哲学的なハエだね。散歩だなんて」。とぼけた私。実は私に打たれて、くずかごに捨てられたハエがよみがえってはい出し、畳の上をゾロゾロ歩いていたのだ。「ハエの姿と自分が重なって、打つのに一瞬のためらいがあるんだよな-」。ハエの命と自分の命がもしも等価であったなら
出水市 中島征士 2012/8/17 毎日新聞鹿児島版掲載
「お父さんのハエが畳の上を散歩しているよ」と妻が笑い出した。「そうか、哲学的なハエだね。散歩だなんて」。とぼけた私。実は私に打たれて、くずかごに捨てられたハエがよみがえってはい出し、畳の上をゾロゾロ歩いていたのだ。「ハエの姿と自分が重なって、打つのに一瞬のためらいがあるんだよな-」。ハエの命と自分の命がもしも等価であったなら
出水市 中島征士 2012/8/17 毎日新聞鹿児島版掲載
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