はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

廃業の店

2018-06-07 09:22:52 | はがき随筆
 散歩の途中、たばこ屋さんの店先に「三月末で閉店」の張り紙を見た。高齢になり、60年の御愛顧に感謝します、と書いてある。奥さんに会うと、夫婦とも80歳を過ぎて、足が痛くなり、3人の娘たちも家業を継がないのでやめましたと語った。
 近所の理髪店は御主人が亡くなり廃業した。こちらも3人の娘さんが結婚して、後継者はいない。「娘さんたちがいるので、心強いでしょう」と言えば、「主人ほど頼りにはなりませんよ」と寂しそうだった。すでにたばこは自販機で買えるし、そのうちに散髪も機械の中に頭を入れて刈る時代が来るかもしれぬ。
  鹿児島市 田中健一郎(80)2018/6/6 毎日新聞鹿児島版掲載

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