はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

一線

2018-06-07 09:36:46 | はがき随筆
 カラスと小鳥が距離を置いて電線に止まった。ああ、カラスはやみくもに襲わないのだ。小鳥も簡単には襲われない。常にその距離には猜疑と防御。攻撃と間隙が考慮され、生きる同士の精緻な駆け引きをしている。自然に野生の必要限度をはかり、せめぎあう本能は本能で、決して規を超えない。
 しかし人間だけは時に甚だしく度を越えるのだ。自己保存や防御の本能を越え、必要以上に走るのはなぜだろう。広大無辺の周期では、それでも調和されるのか。理由は何かあるのしらん……などと皮肉みながら考えて、少し嫌になってきた。
  熊本県阿蘇市 北窓和代(63)2018/6/7 毎日新聞鹿児島版掲載

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