小さな花屋さんの前で僕たちの足が止まった。「1本だっていいのよ、女の人は喜ぶんだから」。深紅の束の中から、様子のいい1本を私は選ぶ。サービスに忘れな草もちょこんと添えられ、かわいいラッピングができた。「加藤登紀子さんも百万本だって歌ってるし1本じゃ格好悪いよな」。男として、どうもひっかかるのだ。
帰り着くと「お義母さん、これ」。背中に隠し持ったバラをこわごわ差し出した。一瞬戸惑いの表情を浮かべた義拇は、すぐ満面の笑みへ。「よかったあ……」。「してやったり」の妻がいつもより大きく見えた。
霧島市 久野茂樹 2016/4/20毎日新聞鹿児島版掲載
帰り着くと「お義母さん、これ」。背中に隠し持ったバラをこわごわ差し出した。一瞬戸惑いの表情を浮かべた義拇は、すぐ満面の笑みへ。「よかったあ……」。「してやったり」の妻がいつもより大きく見えた。
霧島市 久野茂樹 2016/4/20毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます