暖かい日差しに誘われるように、夫と日課のウオーキングに出かけた。近くの畑を30分かけて一周する。畔に目を凝らしながら歩いていた夫が「あった!」と声を弾ませる。ぽつぽつと、つくしんぼの細い茎が3本顔をのぞかせていた。
土筆はスギナの地下茎から胞子茎で伸びる。毎年同じ場所に出てくるのもそのためだという。子どもの頃は、摘んで帰ると母が袴を外し、油で炒めて砂糖と醤油で味付けしてくれた。ほろ苦く、早春の味だった。
今は農薬が心配で摘まない。風に揺れるつくしが私たちを憐れんでいるようにも見えた。
宮崎市 河上久子 2018/4/19 毎日新聞鹿児島版掲載
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