はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

村祭り

2018-04-23 23:23:50 | はがき随筆
 春はあちこちの神社で祭りがある。朝から笛や太鼓が鳴り、のぼりがはためいてウキウキした。
 子供の頃、親から小銭をもらい、ぎゅうっと握りしめて走った。参道の両側に露店が並んで、どの店からも威勢のいい呼び込みの声がしていた。何を買うか値段と品物を比べるが、なかなかない。人ごみの仲をくぐり抜け、行き来して探した。やっと探し当てたときは足が棒になったが喜んで帰った。
 祭りは子供の頃の唯一の楽しみだった。暦をめくって祭りの日を見つけると、遠い遠い昔がしのばれてきた。
  鹿児島県出水市  畠中大喜  2018/4/19 毎日新聞鹿児島版掲載

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