はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

生きることの尊さ

2020-05-11 21:32:13 | はがき随筆
 半世紀以上の昔、夫が他界し15歳の息子と二人残された。
 今、世界は新型コロナウイルスにより、多くの人が闘いいまだ終わらずに続いている。私は昔の苦労と今の苦痛とどちらが大変か考える。
 夫の死と時を同じくして地元の鉱山が閉山した。商いで暮らす身は生活の糧を失ったが、今頑張らなければ後がない。
 悲しみは生きることの尊さを教えてくれた。息子にはただまっすぐに育ってほしい。いくら働いても疲れなかった。
 青い山、紺碧の川、忍び音もらす幼い鳥にも癒された。
 今、何を頑張るのか?
 宮崎県延岡市 逢坂鶴子(93) 2020/5/11 毎日新聞鹿児島版掲載

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