はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

初めての旅

2009-07-11 09:09:31 | はがき随筆
 6歳の時、母親と姉に連れられて阿蘇の父の実家への旅。母がくれた柿を食べてバスの中で吐いてしまった。有佐駅で初めて汽車に乗った。機関車に驚いた。発車の時、機関車の悲鳴。何もかも生まれて初めての経験。汽車が動き出すとガクンと乗客がうごめいた。立野駅から高森線に乗り換え、白川鉄橋から谷底の川が小さく見えて渡るとすぐトンネルに入る。70年前の光景が今も残像として思い出される。用水が止まって魚がたくさん取れた。帰る前、母がいつ帰るねと聞かれた。私が、串ざしにされた魚が無くなってから帰ると告げて皆から笑われた。
  鹿屋市 山口弘(77) 2009/7/7 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はマーキュリーGO GO!!さん

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