もう幾昔も前のこと、田舎の小さな小学校に勤めていた。校庭に一抱えもある大きな銀杏の木があり、季節になると大量の実が落ち、あたりがべとべとになっていた。地元の人たちはさほど関心はなさそうだった。もったいないと思い換金することにした。6年生男子に棒を持たせ登らせた。彼らは雀躍、猿のごとく登り、大量の実(銀杏)を落とした。思いのほか多額の収入になり、彼らと諮りそれを資金に「銀杏文庫」と名づけ図書室を設けた。おかげで文庫は年々充実し子供たちを育んだ。廃校になったそうだが、あの銀杏の木は健在だろうか。
鹿児島市 野崎正昭(87) 2019/10/28 毎日新聞鹿児島版掲載
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