はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆 6月度

2018-07-17 20:31:42 | はがき随筆
 はがき随筆の6月度受賞者は次の皆さんでした。(敬称略)

【月間賞】4日「『ざん』という字」増永陽=熊本市中央区
【佳作】6日「廃業の店」田中健一郎=鹿児島市
▽14日「猫とピアノ」岡田千代子=熊本県天草市
▽2日「平凡な日常こそ」永井ミツ子=宮崎県日南市



 投稿は熟年の方が多いせいか、孫や子供の思い出あるいは父母の年齢を超えた今の自分を見つめ、子供のころの家族に思いを馳せる内容が目立ちます。また身辺の小さな花々に心を寄せるお話もあります。年齢を重ねると皆感じることで、そんな中からキラリと光る新しい発見を伝えていただきたいと思います。
 増永陽さん、いつも鋭い視点のお便りです。今回は一時期盛んに露出した「改ざん」の文字を解析しています。昨今の政治批判です。うそと開き直りで人を小ばかにした今の政府。これでは日本人の人間性、品格が疑われます。世直しが必要です。
 田中健一郎さんの「廃業の店」は、「たばこ屋」と「理髪店」廃業のおはなし。「浮世床」などと親しまれてきた店々が後継者不足でなくなっていく寂しさを描いています。機械の中に頭を突っ込めば自動的に髪を刈る時代とは、なかなか。笑いの中にも味気ない風景がジワリというところでしょうか。
 岡田千代子さんの「猫とピアノ」。好きなことややりたいことにはどんどん挑戦しましょう。猫から何と言われようと初志貫徹、人生大いに楽しんでください。ご主人とのやりとりなど愉快な毎日が伝わってきます。
 永井ミツ子さんの「平凡な日常こそ」では、熊本地震からまる2年、今もビニールハウスでつらい毎日を過ごしている夫婦に思いを致し、いまだに心が痛むと訴えています。現在仮設住宅住まいは3万人以上、そして一部では入居期限も迫っています。自宅を再建しようにも、東京オリンピック関連の建設ラッシュで建設業者が足りず熊本の田舎まで手が届かないのが現状です。いたるところに更地が見られます。途方に暮れている人がまだたくさんいます。永井さんのお気持ちの通り心配で落ち着かない日々が続きます。
熊本文化懇話会理事 和田正隆

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