はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

裸電球の夏

2012-08-09 12:08:31 | はがき随筆


 今年は節電の夏だ。節電といえば昭和20年の夏を思い出す。
 連日の空襲で夜は灯火管制が敷かれ真っ暗だった。裸電球に黒の蛇腹を付けていたので更に暗かった。停電もしょっちゅうで「あっ、また停電」と突然消えた。電気といえば裸電球があるだけだった。家族は狭い部屋で暗い灯の下、代用食の夕食を取っていたが、家族の楽しいだんらんがあった。
 戦争が終わって灯火管制も、蛇腹もなくなって、輝く裸電球がまぶしかった。
 節電の今、生活は豊かになったが、裸電球で停電の多かった夏がなつかしい。
  出水市 畠中大喜 2012/8/8 毎日新聞鹿児島版掲載

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