雨期も過ぎて脇田川の水もきれいになった。コイもゆっくりと群れをなして泳いでいる。「バサッ」と川の草むらで大きな音がしたのでのぞき込むと、突然白サギが羽を広げて飛び立った。くちばしには、うろこをキラキラさせているコイが。すると今度は空から1羽のカラスがそのコイを狙って襲ってきた。白サギはかわすことができない。脇田川は狭く両岸は高く、石垣でできている。コイも必死に暴れる。白サギは前に進むしかない。三者三様の戦いは続き川上の方へ消えていった。家に帰る道すがら私は、つくづく人間でよかったと思った。
鹿児島市 野幸祐 2012/9/20 毎日新聞鹿児島版掲載
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