はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

生きぬいて

2020-04-29 11:06:58 | はがき随筆
 冬季サークルが終わり戸外に出た。友が近寄り、元気ですかと声をかけられた。おかげさまで元気よありがとう。
 友は「親を介護している」と淡々とした口調で言う。食事やもく浴などを何度も要求し、夜は徘徊し汚物をつかんで壁になすりつける、手の施すすべもない。友は親の美醜の情景をジェスチャーで表現した。
 介護の日々に骨が折れると骨身に染みた。いばらの道を踏み越え蛇行し、皆、看病した。暗くて長い隧道をさまよい、そのあかつきには未来のまぶしい朝日が生まれる。前向きにどんと生き抜いて。
 鹿児島県姶良市 堀美代子(75) 2020/4/29 毎日新聞鹿児島版掲載

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