春の庭は、あまやかな予感が、明るい期待を抱かせ、何とはなく華やぎを感じる。柔らかな若葉が庭を彩りぬくもりが樹幹を巡るさやかな音さえ聞き取れそうだ。だが一瞬の間にもえ立ち、透かし模様を埋めて繁る。郁子はいま去年の葉を落とし、もう若葉と花つぼみが四方八方うるさく徒長してきた。そろそろ剪定せねばと思ったり、松の緑は整然と灯明のように愛らしく美しいが、もう少ししたら、葉摘みをせねば……と思ったり、また忙しくなりそうだ。私と草と木々とのたたかいの序章。楽しいような、つらいようなありがたい日々が今年も始まる。
熊本県阿蘇市 北窓和代
熊本県阿蘇市 北窓和代
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