はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

断腸捨離

2017-05-08 13:36:47 | はがき随筆
 カメラ、宝飾品、高価買取ります、と青年がやって来た。終活、断捨離とはやっているのでそのうちにと思っていた。数台のフイルムカメラ、レンズなどを処分することにした。
 どの機種にも忘れ難い思い出がある。値段はごみに出したほうがよいくらいのものである。彼らも商売だろうが数十万円のものをこなんな捨て値で、と情けない限りである。
 断捨離と簡単に言うが、愛着のある物を処分するということは過去との決別であり、それこそ断腸の思いである。結局1台のカメラは思い断ち難く、捨て切れなかった。
 鹿児島市 野崎正昭 2017/5/4 毎日新聞鹿児島版掲載

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