いつもなら来年のビワの収穫を楽しみに、咲き誇る花を摘むのだが、今年は違った。
数十年栽培してきた両親が高齢になり
労力軽減のためビワ茶用の葉を採る目的に花を摘むことにしたのだ。
葉に養分が行くようにすべて摘み切る。
作業を進める母の姿にいつもと変わった様子はないが、
心の内はわからず、聞くこともしなかった。
林芙美子の「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき」の文句を思い出す。
手伝いを終えて帰宅する時にビワの花を持ち帰り、洗面所に飾った。
甘くキリリとした香りがほのかに漂った。
垂水市 川畑千歳 2011/12/5 毎日新聞鹿児島版掲載
果物の袋掛け作業は、簡単な事ではありませんが、収穫の喜びを思うとがんばれますよね。
我が家は夫の存命中、毎年二人で桃の袋かけをやりました。夫が亡くなった翌年、後を追うように枯れてしまいましたが…。
私一人では世話できないので、夫の思いやりだったのかもしれません。
いつもご両親を助けておられるKさんなんです。
切ない心情が痛いほど伝わってきますね。