春に植えたトマトが熟れ、調理しながら遠い日を思い出す。終戦の翌年、小学5年生でまだ疎開してきた同級生が数人いた。食糧難で学級園にはトマト、キュウリを植え、成長を観察しながら収穫を心待ちにした。当時肥料は町道に荷馬車が通った後、あちこちに馬糞が落ちていたのを、2人1組になって、掃除用のざるやちり取りを持って拾い集め、トマトの畝に入れた。赤く熟れたとまとがたまると、先生はくし形に切ったトマトにソースをかけ、それを皆で食した。そのおいしかったことは今も忘れない。このシンプルな食べ方は今も私は好き。
鹿児島県出水市 年神貞子(82) 2018/9/13 毎日新聞鹿児島版掲載
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