私は1歳の頃、疫痢で新宿の東京女子医大病院に入院した。高熱と下痢で衰弱し、今夜が峠と告げられた。ぐったりした私を見た女医さんが「お乳を飲ませてみたら」と言ったので、母が乳首を含ませたら、私は必死になって飲んだという。
夜中に母は氷屋に行き、主人を起こして事情を話すと「奥さん、お金はいりません」と氷をいただいた。先生は付きっ切りで看病し、私は奇跡的に回復した。母は生前、よくその話をしてくれた。もしあの時、お二人がいなかったら、私はこの世にはいない。東京の女医さんと氷屋さんに大変感謝している。
鹿児島市 田中健一郎(81) 2020/4/14 毎日新聞鹿児島版掲載
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