はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

霊前に告げる春

2018-04-23 20:59:01 | はがき随筆


 午後2時、足腰を鍛えに散歩する。外は嵐が吹き、高台へ続く階段を、注意して登る。
 広い野原は草木が茂り寒桜の花が満開。つい背のびし、小枝を折り、家に飾りたいと心が弾む。まぶしい日差しを受けて日光浴。その一角にある納骨堂を掃除し、礼拝。墓碑には数十名の命日が刻まれ、現在の私より若い方や幼児数人。天命はいかんともしがたい。78歳、今日ある命に感謝する。落葉樹のこずえに仲むつまじく2羽の山バトが寄り添い、鈴を鳴らすようなウグイスの声に心洗われ帰宅。
 霊前に桜を手向け、春の到来を報告して合掌する。
  鹿児島県肝付町  鳥取部京子  2018/4/15  毎日新聞鹿児島版掲載

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