廊下でかん腸がすむのを待っていた。「たくさん出ましたよ」と看護士さんがニコニコしながら、新聞紙包みを持って出てこられた。
病室へ戻ると〝残り香〟がする。つい「臭いね」と窓を開け放った。
そしてその夜、思いがけなく姑は逝ってしまった。
人の手を借りないと、排せつも食事もできない身になった姑。〝残り香〟にそそくさと窓を開け放ったことが、姑を惨めにし、慌ただしく旅立たせてしまったのではないか。「これ以上、嫁たちの手を煩わせたくないと思ったのだろうよ」と夫は言うが……。
出水市 清水昌子(54) 2007/8/24 毎日新聞鹿児島版掲載
病室へ戻ると〝残り香〟がする。つい「臭いね」と窓を開け放った。
そしてその夜、思いがけなく姑は逝ってしまった。
人の手を借りないと、排せつも食事もできない身になった姑。〝残り香〟にそそくさと窓を開け放ったことが、姑を惨めにし、慌ただしく旅立たせてしまったのではないか。「これ以上、嫁たちの手を煩わせたくないと思ったのだろうよ」と夫は言うが……。
出水市 清水昌子(54) 2007/8/24 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます