はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

柿の赤ちゃん

2018-07-16 21:45:46 | はがき随筆


 朝柿の小さな実がびっしり落ちている。4枚のヘタの真ん中に四角い先のとがった実がついたままだ。実の先端には黒い毛が少し伸び、二つに分かれて曲がっている。ヘタは4枚ともハート形で、真中が盛り上がって四方に広げて身を包んでいる。実もヘタも黄緑で柿の赤ちゃんだ。こんな小さな命のまま終わるって哀れだ。風雨があるとさらに落ちる。落ちる瞬間も見たいが……。毎朝自然淘汰されて、残った少ない実が柿右衛門が極めたきれいな色になるのだ。自然の営みにただおどめくばかりの朝である。
 鹿児島県出水市 畠中大喜(81)2018/7/12 毎日新聞鹿児島版掲載

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