「うわっ、うわっ、うわあ~っ!」。あらん限りの大声で妻を呼ぶ。「すわ、殿の一大事!」と押っ取り刀で恋女房が駆けつけた。何事か? 真っ裸の私が指差した物は、何と湯船の底に沈んだひとさし指大のムカデ。「とっくに成仏してるし、正にムカデの釜茹でだよね」。平静を装ってみたものの、心中穏やかではないことは一目瞭然。家が築15年なら、私たちの山暮らしも15年。ヘビ・ムカデ・カマキリと私の好き嫌いに関わらず何でもいる。「最後は慣れだな」。言い聞かすように自分に言った。
霧島市 久野茂樹 2016/6/28 毎日新聞鹿児島版掲載
霧島市 久野茂樹 2016/6/28 毎日新聞鹿児島版掲載
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