中町の通りでいま店を出した人が、立派なトマトをまさに並べんとして汗をふいていた。
「うわー、おいしそうなトマト、立派ですね。桃太郎ですね」「はい桃太郎です
」「桜島の」「ようく知っていますね」。短い会話の間にも私はどれにしようかと選んでいた。「これください」「はい、ありがとう。今年はこれでおしまいです」
ぴっちり実った桜島の桃太郎を1袋買って、冷やしてひとり食べるさまを想像してうれしかった。が、夕方になると一番大きいのを孫に持っていく。おいしいものは分けて食べるに限る。小さいときからの習慣ゆえ。
鹿児島市 東郷久子 2016/6/29 毎日新聞鹿児島版掲載
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