はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

薩摩街道

2007-06-17 08:01:58 | はがき随筆
 新緑の薩摩街道を歩いた。出水駅より袋駅まで11㌔を歩く。旧道を抜けると野間の関所。講師の話では「参勤交代の道として出水筋は最重要路だった。勤王の志士、高山彦九郎さえ、許可が出るまで2週間、足止めされたほど厳しかった」。現在は堀の跡と古井戸だけが往事の面影をしのばせる。眼下を望むと不知火海が、真っ青な海に白い小舟と長島、天草の島が遠くに霞む。万葉ゆかりの潮風を受けて、県境の境橋に着く。橋のたもとには茶屋の跡があり、旅人はお茶や団子で疲れを癒しただろう。薩摩武士の勇姿を思い浮かべながら帰途についた。
   出水市 橋口礼子(73) 2007/6/17 毎日新聞鹿児島版掲載

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