はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

夜明けの渚

2010-09-21 21:55:44 | はがき随筆
 9月に入って夜明けがまた遅くなった。早起きの身に朝が遅いのは困るが、いつも海岸まで車を走らせて海を見る。肺気腫の疑いがあると言われ、歩くのはやめたが、渚に立って波の音を聞くのは好きである。
 台風10号のせいで海も空も今朝は荒れていたが、雲の切れ間に遠く細い眉月が光っていた。ついこの間は、満月だったように思えるが、いつの間にか細くなっている。1人になって眉月を見ると、ふと人生の終わりを思い、寂しくなる。月のように、また膨らむ日はないが、精いっぱい頑張って命ある限り強く生きたいものだと思う。
  志布志市 小村豊一郎(84) 2010/9/16 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿