はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

父の日記帳

2006-04-09 16:57:48 | はがき随筆
 亡き父の日記を読み返してみた。
 教職にあったが、機会があれば若い人たちと教育論をたたかわせては、にぎやかに酒盛りを始めていた。
 私の手紙も誤字脱字は訂正され、何回も送り返された。
 そんな人だから、淡々とした文が並んでいたが、私の夫が急逝した時は「娘は3人の子どもを育て上げられるのだろうか。陰で支えてやらなければ……。由井ちゃん、頑張れ」と記し、文字も乱れて、父親の溢れそうな苦悩と愛情が読み取れた。
 庭の桜が満開だ。24年前の日記帳に、一片の花びらが舞い降りてきた。
   阿久根市赤瀬川 別枝由井(64) 2006.4.9 掲載


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