テレビの画面に青々とした麦畑。そばを自転車で走りながら火野正平が言った。「麦がそよいでる、ええ景色やなあ。『ライ麦畑でつかまえて』やね」と。
わあ、懐かしい題名。息子が大学生だった頃「先生に薦められたから」と買った本である。彼の本たての隅にずっと並んでいた。40年近く過ぎたいま、内容も品の行方も忘れてしまった。
秋田に単身赴任中の当の息子は、コロナ騒動で横浜の家族の元へ帰れない。「本を読む時間が増えた」と言う。「『ライ麦畑でつかまえて』でも読んだら」と言うと、゜「なに、それ?」だって。
宮崎県延岡市 島田千恵子(76) 2020/6/16 毎日新聞鹿児島版掲載
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