はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

秋の予感

2009-09-29 12:51:39 | はがき随筆
 学校の先生をしておられた高齢のK先生は、鈴虫の飼育の名人である。毎年8月の初めになると、遠方なのに決まって幼虫をいっぱい届けてくださる。
 妻は越冬させるコツをいくら習っても失敗ばかりで、最近はその時季になると虫かごを準備して当てにして待っている。
 まだ昼間の暑さは厳しいけれど、盆が過ぎ高校野球が終わりに近づくころになると時々1、2匹が交互に短い声で鳴き始めようとする。
 たしかに朝夕は季節のうつろいを五感を通して予感する。間もなく鈴虫たちのにぎやかな「さえずり」が始まりそうだ。
 志布志市 一木法明(74) 2009/9/29 毎日新聞鹿児島版掲載

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