はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

幸福

2008-09-13 23:28:49 | はがき随筆
 「死ぬための生き方」という本は作家や実業家、芸能人などが自分の人生を語っていて興味深い。50人近いそれらの半数が既にこの世になく、それだけに味わい深い内容でもある。この中で3人がゲーテを取り上げていた。うち劇作家・田中澄江のが面白い。「全生涯で真に幸福だったのはわずかに4週間に過ぎない」。ゲーテが本当にそう嘆いたのかは分からない。もっと分からないのは4週間の意味。「わがこの胸のほかのいずこに君は住むというのか」と恋人にあてた手紙を書いたのはゲーテ74歳の時。幸せとは何か分からぬままに人生は過ぎる。
   志布志市 武田佐俊(65) 2008/9/13毎日新聞鹿児島版掲載

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