「今が一番の見ごろだよ」と妹が、自宅から車で5分程の桃畑に案内してくれた。
広々とした畑には、春の陽をさんさんと浴びた、大きな桃の木が6本、四方に枝を広げている。満開の桜は、この世の春を独り占めしているように咲き誇っている。向こうの木立から聞こえるウグイスや野鳥のさえずりが、何とも心地良い。
世間の煩わしさから逃れ、青空の下でのんびりと時を過ごす妹婿の満足そうな顔が、目に浮かぶ。桃源郷にいる気分だろう。
うれしそうに出かける夫を「今日もお出かけですか」と妹は冷やかしている。
伊佐市 山室浩子 2013/4/3 毎日新聞鹿児島版掲載
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