はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母を連れて

2009-07-03 21:57:31 | はがき随筆
 6月の初め、いとこから梅ちぎりの誘いがあった。そこは棚田の最上段、うっそうとした森の入り口。昼間でも一人では心細い所で、清流の上に立つ老木には、ほほを真っ赤に染めた梅。それを母にも見せようと。
 石ころ道を車で数分、ふらつく足を支えながら歩くこと10分程。木の下にはブルーシート、そこに座らせ枝を手渡すと、しばらく見つめてちぎり始めた。小さなかごI杯になると横になり寝入ってしまった。
 「来年もよろしく」と梅の木に願った。そしてここに母もいるようにと。91歳、要介護5.帰り、車道まで弟がおぶった。
  薩摩川内市 馬場園征子(68) 2009/7/1 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はマグナさん

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アカショウビン)
2009-07-03 22:38:42
大変なことも多々あるでしょうに、自然体でお世話する征子さん。
 
来年の梅ちぎりもお母様と一緒に楽しめますように。
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Unknown (野の風)
2009-07-11 11:22:28
エッセーを友人達に送ったら、数人から電話やはがき。「情景が浮かぶ」「じんときたよ」など、一人でも共鳴してくれたら書く意味があると思うことです。
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Unknown (アカショウビン)
2009-07-11 19:48:25
誰でも、いつかは体験する老い…。
穏やかな日々でありますようにと祈りつつ読んでいます。

また読ませてくださいね。
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