はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

果業45年

2017-02-10 21:30:46 | はがき随筆
 甘夏ミカンの収穫期。握り拳よりも大きい黄金色の玉。父と母とがちぎる。樹上から切り取った実を高ばさみでつかんだまま、そっと地面に下ろす父。へたについた枝を切り落として箱に収める母。20㌔たまった箱を次々と軽トラに摘み込み倉庫の中へ。一日に60箱。重さ1㌧。雨の日には室内で選別作業。早朝に出荷をしながら、これが3月まで延々と続く。春になれば新芽の剪定、害虫の駆除。初夏からは雑草との闘い。日照りのときは根元へ給水。実が膨らむ秋には台風の心配。おかげで今の私が在る。しかし手伝えるのは土日のみ。父79歳、母86歳。
  出水市 山下秀雄 2017/2/9 毎日新聞鹿児島版掲載

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