はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

忘れられた集落

2017-02-10 21:20:38 | はがき随筆
 84歳で一人暮らしの正月、テレビを相手にゆっくりと過ごしていると、ふと同じ境遇の同級生がいたのに気がついた。
 「あいつ、正月どうしてるんだろう」。電話をしてみたが通じない。考えだすとますます気になって重い腰を上げた。
 バスに乗り朝9時半に着いたが、玄関のカギがかかっており音もしない。近所を2.3軒まわってみたが人けのない家が多いのには驚いた。場所を言うのははばかられるが、鹿児島市の団地と団地の間の谷間にはこのような所が多い。「見放されたか」と我が身を振り返り、そおーっと自分の部屋に帰った。
  鹿児島市 高野幸祐 2017/2/9 毎日新聞鹿児島版掲載

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