目前の、出水や蒲生の大楠の幹の洞は、伝説の恋の傷跡か。
約1300年前、出水市広瀬の井出に住む幸媛という娘と雅彦という青年は、人もうらやむ恋仲だったという。ところが、稲置という当時の権力者に、幸媛は横恋慕され、雅彦は蒲生に追放されることになった。
どんなに無念だったことだろう。別れ際に、幸媛は二つの楠の実の一つを雅彦に渡し「私の身代わりと思い蒲生で育てて」と頼み、他を井出に植えた。
楠は恋を託され、幾星霜。ごつごつした幹に想いをいっぱいこめた楠。いつまでも伸び続けてせめて天で結ばれてほしい。
出水市 小村忍 2011/9/25 毎日新聞鹿児島版掲載
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