はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ドアがススッと

2006-09-17 23:55:16 | はがき随筆
 東京の臨海線のこの駅の地下は、昼下がりのせいか、ひっそりとしていた。
私はトイレに向かった。扉が閉まっていたが、傍らの開ボタンを押したら開いて中の明かりがついた。
 用が終わり外に出ようとしたその瞬間、扉がススッと音もなく閉まり、明かりも全て消えた。何が起きたのか。漆黒の闇である。恐怖に襲われた。どうして脱出しようか。スイッチがあるはずだ。辺り構わず手を振り回した。と、その時、明かりがパッとつき扉がスーッと動いて、人が入って来た。助かった。長い長い数分間だった。
 なぜ閉まったのか、わからない。
   姶良町 東郷義弘(65) 2006/7/17 掲載

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