残業が終わって真っ暗な駐車場へ行くと、寄り添う2人がいた。お邪魔かなと思いつつ近づいていくと、母親と幼い娘が仲良く夜空を見上げている。「夏の大三角形はあれかな?」と可愛らしい声。「あれがベガじゃないですかね?」とちょっとだけと飛び入り参加。遮る建物もなく余計な電灯もなく、たくさんの星々が見えるからこの広い駐車場に来たのだという。丸い星座盤と見比べながらしばらく3人で天体観測。おなかもすいてきたので親子に別れを告げ車に乗り込んだ。帰路の運転中、私は星空よりも美しいものを見たような気分になった。
鹿児島県出水市 山下秀雄(52) 2021.10.16 毎日新聞鹿児島版掲載
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