はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

童地蔵

2006-05-09 09:12:38 | はがき随筆
 庭園の杉木立はほどよい間隔で、下枝をすっきり落としてあるので日差しが地面まで届いて明るい。苔庭の所々に生えている猩々袴はちょうど花どきで青紫の花の塊を掲げている。楓は若葉が形を成しはじめていた。苔庭はふくよかさを取り戻し、緑の光をたたえ、奥へと広がっていた。
 丸っこい石が幾つか見えた。近づくと愛らしい童子の顔だった。小首をかしげほほ笑んでいる。2体寄り添うものもある。苔の中から這い出たかのように苔むしている。日差しの中のそのお姿は、この世に生まれ出た喜びにあふれていた。
   出水市明神町 清水昌子(53) 2006/5/9 掲載


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