はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

空の向こう

2008-05-16 07:29:57 | はがき随筆
 夢を見た。
 彼女は笑みを満面にたたえ、何か言いたそうにしていた。そのほほ笑みの深さを、2日後に知った。
 声が聞きたかった。少しでも話がしたかった。老いた両親のこと、大切な息子のことをいっぱい抱きかかえているくせに、いったいどういうつもり?
 5年前からの病が、53歳の彼女の命を奪ってしまった。
 5月のこの空を見上げると、彼女があまりに遠くに行きすぎて、それが歯がゆい。
 空から涙のひと滴ぐらい落としてごらんよ。受け止めてあげるから。
   阿久根市 徳丸伸子(54) 2008/5/16 毎日新聞鹿児島版掲載

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2 コメント

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ジーンとする文章ですね! (Michi)
2008-05-16 15:41:16
ジーンとする文章ですね!
いつも、良い記事をありがとうございます。
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Unknown (アカショウビン)
2008-05-17 06:14:05
Michiさま
いつもお読みくださりありがとうございます。
僅か250字に凝縮されたエッセイはすばらしいでしょう。
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