「わたなべ」という姓は全国に分布し、数の上でも上位にランクされるのではなかろうか。それだけに「邉」の字体も「辺・邊・邉」など多様で、よく「わたなべのなべの字は?」と聞かれる。「べの字ですね。冠の下はハロです」と答える。「邉」に「なべ」という読みはなかろう。
「目な尻」(眦・まなじり)、「目な子」(眼・まなこ)、「手な心」(掌・たなごころ)などの「な」は、格助詞「の」の古形。それに準じると「渡邉」は「渡な邉」で「渡し場の辺り」ということになろうか。
先祖は渡し場の辺りにでも住んでいたのだろう。
熊本市中央区 渡邊布威(82) 2020/5/9 毎日新聞鹿児島版掲載
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