鶴渡る出水の地に生まれ70年になるが、今年ほど鶴に思いを寄せて見たことはなかった。
世の中はコロナ禍で人と人が会えない、集まれない。人間の一番大切な部分が制限された。そして鶴にも鳥インフルエンザの危機が迫った。
親子で寄り添う姿、群れで憩う光景はまぶしく、どうか無事でありますようにと祈るような思いで眺めた。青空に舞う鶴にも同じ思いで手を振った。
夕方鳴きながらねぐらへと帰る長い鶴の竿。夕日に影を置き神々しい。遠い昔からの美しい冬の風景である。永遠に鶴の渡り来る里でありますように。
鹿児島県出水市 塩田きぬ子(70) 2021/3/21 毎日新聞鹿児島版掲載
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