子供の頃、母と知り合いの家を訪ねた帰り、杉木立の谷間に白百合があちこち咲いていた。美しい景色を眺めながら、谷間に咲く白百合が不思議に思え、それは脳裏に残った。
3年前、庭の隅に百合を見つけ、様子を見ているうちに白い百合が咲いた。図鑑で見るとタカサゴユリのようだ。そのままにしていると晩秋には実が弾けそうになった。殻を開くと薄茶色の薄い種が舞うように落ちた。百合は球根で花が咲くと思っていたが、庭の百合はどこからか種が風に乗って芽生えたのだ。谷間の白百合の不思議が解けた。
出水市 年神貞子 2015/5/20 毎日新聞鹿児島版掲載
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