はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

歴史の時効

2015-05-26 22:30:54 | はがき随筆
 街づくり研究会が、二十数年前に熊本市で開かれた。講演やフィールドワークの概要を、翌朝、速報にして発行。原稿の最終チェックを担当した。
 町並み保存会の活動を伝える原稿が上がってきた。時代を具体的に書こうと、保存会の事務局に追加取材の電話をした。
 「家並みは江戸期のいつごろのものですか」の問いに「なんば言うか。城下町はサツゾクに火ば付けられ残っとらん」。「サツゾク?」「日付け盗賊の薩賊たい」。120年も前の蛮行を、隣県人ですらいまだに許さないことを知った。歴史の汚点に時効はなかなかこない。
  鹿児島市 高橋誠 2015/5/21 毎日新聞鹿児島版掲載

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