はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

もってのほか

2015-06-24 20:01:43 | はがき随筆
 ピラミッドの絵はがきに、旅行で知り合った女性と一緒に帰るとある。3人兄弟で唯一独身の長男からだ。出雲での祈願が効いたね? と夫とにっこり。話はとんとん拍子にまとまり、山形へ。おごそかに高砂も唄われ、夢見てきた契りの杯に感無量。やがて宴になりほっとしたのもつかの間。「もってのほか」という声がする。(とんでもない許し難い息子)と私は受け取り心穏やかじゃないのだが、夫は素知らぬ顔で料理に舌鼓。意気消沈していると、おばあ様が食用菊をなますにしたら、もってのほか(意外に)おいしくその呼び名になったと話された。
  薩摩川内市 田中由利子 2015/6/14 毎日新聞鹿児島版掲載

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