母娘が上空を見上げているが私には何も見えない。聞くと、「娘がクジラが授乳中というので」と母親が上空を指さす。
横に伸びた長楕円の白い雲が親で、その下に吸い付くような灰色の小楕円の雲が子ども、確かに、映像で見覚えのあるクジラの授乳姿だ。すると、青空を背景にして、ゆっくり流れる親子雲の形が、海原をゆったり泳ぐクジラ親子の姿に思える。
雲の重なりがクジラ親子の姿に置き換わる、絵本から抜け出したような子どもの豊かな感性に驚く。遠ざかる雲を見上げている女の子、その心にどんな物語が生まれているのだろうか。
岩国市 片山清勝(79) 毎日新聞山口版掲載
あの子どもの発想がどこから湧き出るのかただただ感心するだけでした。
それが、大人になると、しぼんでしまう……。