「僕は野良猫よ。腹がへったけど食べ物がないの」。孤独で寂しい日々。「飼い猫が羨ましい」。ねぐらもなく、山や庭を恐怖心でさまよう。早朝、ある家のベランダを通ると、奥さんが雨戸を開けている。目線が合い顔色をうかがう。
すると「怖がらないで」と優しい声。人の心が身にしみる。そして僕を見て一言。「随筆に書くよ」とちゃかす。「逃げろ」。道路へ出ると急速する車。幼子から「危ない」と大声で注意され「危ないのはあんただ」。「ソレー」。横断成功。さて、芝生で昼寝でもするか。ごろりと横に転がる。気分最高。
肝付町 鳥取部京子 2013/2/23 毎日新聞鹿児島版掲載
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