まだ若く、世渡りももっと下手だった頃。大学の先輩が隣町のキャンプ場に来るというので、母が作ったスイカを届ける約束をした。しかし、父に「男性に会うために仕事を休むとはけしからん」と叱られた。
当日、職場とは反対方向の列車に乗れば、たとい手ぶらでもおわびが言えたのに。弱虫娘は普段通りに仕事に行った。携帯電話も無い時代、謝罪の葉書を出したが、以来音信不通に。
過日、41年ぶりに再会し「のどに骨が刺さったようで」とわびたら「スイカに骨はないよ」と笑ってくれた。あのときの骨が抜けたと思える瞬間だった。
鹿児島市 本山るみ子 2016/1/4 毎日新聞鹿児島版掲載
当日、職場とは反対方向の列車に乗れば、たとい手ぶらでもおわびが言えたのに。弱虫娘は普段通りに仕事に行った。携帯電話も無い時代、謝罪の葉書を出したが、以来音信不通に。
過日、41年ぶりに再会し「のどに骨が刺さったようで」とわびたら「スイカに骨はないよ」と笑ってくれた。あのときの骨が抜けたと思える瞬間だった。
鹿児島市 本山るみ子 2016/1/4 毎日新聞鹿児島版掲載
数年前福岡で寮の同窓会が開かれ、同階生と四十数年ぶりに会うことが出来ました。彼とは四年間同じ釜の飯を食った仲です。就職試験も一緒に受けたのですが、私は、帰郷のための旅費が欲しくて受けたのでした。その旨を話すと、彼は「あれはあれでよかった。」と言いました。
「のどの骨が取れた」のとは違いますが、一つ許されたなと思いました。
数年前福岡で寮の同窓会が開かれ、同階生と四十数年ぶりに会うことが出来ました。彼とは四年間同じ釜の飯を食った仲です。就職試験も一緒に受けたのですが、私は、帰郷のための旅費が欲しくて受けたのでした。その旨を話すと、彼は「あれはあれでよかった。」と言いました。
「のどの骨が取れた」のとは違いますが、一つ許されたなと思いました。