ダリヤは初夏の花より秋の方が色濃くて美しい。
「お母さん、ダリヤが咲いたよ」。私が母に電話すると、
母は「ノボタンが6輪開いているよ」。お互いに開花を報告していた。
16年前、母がダリヤの球根を送ってくれた。
それは美しい赤紫の花が咲いた。
帰省した折、お返しに挿し芽していたノボタンを庭に植えた。
母は紫紺の花が気に入り、
遠く離れても巡る季節に開花を報告し、健康を確かめていた。
今、目前の品格さえ感じる美しいダリヤ。「お母さん、咲いたよ」。
もう電話がかけられない。4月前、母は逝った。花を仏壇に供えた。
出水市 年神貞子 2011/11/2 毎日新聞鹿児島版掲載
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