はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

冬の靴音

2011-11-03 21:30:39 | はがき随筆
 ある日曜日、観劇を終えて市民ホールを出ると、広い芝生を渡ってきた風が、体に染みついた歌の残り香をぬぐい去ってくれる。遠くから野球の歓声が聞こえてくる。ぱったりエッセー仲間と会った。「この前のエッセーすばらしかったですね」。褒められて、なにやらうれしかった。「あなたこそA液にB液をそそぐと、どうにかっていう話、あれ良かったですよ」
 二人とも手持ちぶさた。のどが渇いてベンチでちょっとティータイム。自販機のコーヒーはもうホットに変わっていた。サーッと木枯らしがほおをなでた。冬は、もうすぐそこだ。
  鹿児島市 高野幸祐 2011/11/3 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿